先日、高校吹奏楽部のエレキベースレッスンに伺ったのですが、こんなことがありました。
1人の生徒が楽曲のある箇所で何度も詰まっていたので、左手の動きを見てみると、このような運指で弾いていました。

※著作権の関係があるので、近いフレーズで再現しています。
うーん、その運指、なんだか大変そうだな……
そう思い、
「そこの箇所さ、オクターブだから、開放弦を使わない方が楽じゃない?こうやってさ」
と、アドバイスをしました。

「僕、その動き苦手で……」
「そう?でも、オクターブはエレキベースを弾いていたらめちゃめちゃ出てくる指の形だから、できるようになった方がいいと思うよ。」
「分かりました。こうですか?」
すると彼は、人差し指と薬指を使ってオクターブを押さえ始めました。

「うーん、君は薬指が長いんだね。でも、人差し指と小指で押さえた方が楽じゃない?」
「実は小指が苦手で……」
「小指を薬指で補助してあげたら?コントラバスの形で、そのまま弦をまたぐイメージで。」

「あ、楽です!」
「だよね。その形だと、前のフレーズからも繋がりやすいし、次のフレーズにも行きやすいでしょ。」

「そうか!なるほど。」
コントラバスの奏法を無理に当てはめてしまうことと、エレキベースにとって有利な奏法を知らないという複合技でしたが、無事、楽チンな方法を伝授することができました(笑)
同じ高さの音が出るポイントがいくつかある
エレキベースは(コントラバスも同じくですが)、同じ高さの音が出るポイントがいくつかある場合があります。
先ほどのDの音を例に説明していきましょう。
まずは、2弦開放弦で出すことができますよね。
しかし、それだけではありません。
3弦5フレットを押さえても、同じ高さのDが出ます。
もっというと、4弦10フレットでも同じDの音を出すことができます。

このように、楽譜に書かれたDの音は、3通り音の出し方があるということになります。
一般的な4弦ベースの場合を考えると、
・1つのポジションしかない音
・2通りポジションがある音
・3通りポジションがある音
の、3パターンがあるのです。
どのポジションを選ぶと有利かを考える
冒頭に書いた生徒は、2弦開放弦で下のDを弾き、1弦の7フレットで高いDを弾きました。
楽譜的には正しいですし、フレーズだけを抜き出せば、そのポジションの取り方の方が押さえる箇所が少ないので楽ではあります。
しかし、今回の場合、前後のフレーズとのつながりを考えると、小節が変わる際、左手を大きく動かさなくてはならないため、つまずくリスクが高くなってしまうのです。
また、以前、エレキベースは4弦以外の開放弦はあまり使わないという話を書きました。
開放弦って、エレキベースではミュートコントロールがとても難しいのです。
特に、オクターブフレーズというのは、開放弦を使うとミュートが大変になり、不利になる可能性が高くなります。
そこで、必要になってくるのがエレキベースでのオクターブ奏法というテクニックです。
オクターブ奏法とは、1音目に弾いた音の1オクターブ上を2音目に弾く奏法。
左手の形がほぼ決まっており、大きな横移動をすることなくオクターブ音を弾くことができます。
エレキベースを弾いていると、必ずオクターブ奏法が必要になってきますし、吹奏楽のポップス曲でも頻繁に出てきます。
まずは基本的な押さえ方から説明しますので、ぜひ、マスターしてみてください。
また、4弦+2弦のオクターブ奏法と、3弦+1弦のオクターブ奏法では、考え方が少し違うので、分けて説明しますね。
4弦+2弦のオクターブ奏法
では、4弦と2弦のオクターブの押さえ方を説明します。
4弦5フレット「A」の音を基準に説明しますが、慣れたら他の音でもやってみてください。
まずは、4弦5フレットを人差し指で押さえます。
このとき、4弦以外の弦にも人差し指の内側を軽く当てておきます。

続いて、4弦5フレットを離しながら(4弦に触れているだけの状態)、2弦7フレットを小指と薬指で押さえます。

中指は、2弦6フレットで小指薬指の補助をしても良いですし、弦の近くで浮かせていても構いません。
オクターブフレーズを弾く上でのポイント
「4弦5フレットを離しながら(4弦に触れているだけの状態)、3弦7フレットを小指と薬指で押さえます。」
と、書きましたが、これはオクターブ奏法をやる上で、重要な意味を持ちます。
オクターブフレーズをきれいに奏でるポイントは、低い音と高い音を同時に鳴らさないことなのです。
※楽譜が和音を表している場合は除く
ですので、オクターブ上の音を鳴らす瞬間には、必ず下の音をミュート状態にしてください。
なぜかというと、エレキベースの音域は、オクターブ上下の音が同時に鳴っていると、若干濁って聞こえるからです。
これは、昔、僕の師匠に口すっぱく言われたポイントでした。
小気味良いオクターブ奏法が得意な方で、僕もその技を盗ませていただきました。
本当に僅かな違いですが、これは吹奏楽に限らず、エレキベースを弾く皆さんに知ってもらいたい、オクターブ奏法の重要なポイントです。
右手の動かし方
右手の動かし方ですが、基本的には低い音を人差し指、高い音を中指で弾くのが楽だと思います。
右手人差し指

右手中指

効き指が違う場合は逆にしても構いませんが、手の構造上、低い音=人差し指、高い音=中指の方が無理がないと思います。
人にもよると思いますが、人差し指と中指を比べると、人差し指の方が短いですよね?
なので、手から近い下の弦は人差し指、手から遠い中指は高い弦を弾くと、スムーズに指が動くかと思います。
では、実際に弾いてみましょう。

テンポは♩=80くらいからスタートし、100〜120くらいで弾けるのが理想です。
必ず、4弦と2弦を同時に鳴らさないことを心がけながら弾いてください。
3弦+1弦のオクターブ奏法
では、3弦と1弦のオクターブ奏法に移りましょう。
押さえ方は4弦+2弦とほぼ一緒なのですが、ミュートの意識が変わってきます。
3弦と1弦のオクターブを押さえると、4弦に触れる指がなくなってしまいますよね。
そうすると、4弦から余計な音が出てしまい、サウンドが濁ってしまいます。
それを防ぐために、4弦に触れている指を作らなければなりません。
4弦をミュートする方法は2種類ありますので、1つずつ見ていきましょう。
人差し指の指先で4弦をミュートする
では、3弦5フレット「D」の音を基準に説明をしていきます。
まずは、3弦5フレットを人差し指で押さえるのですが、このとき、人差し指の指先で4弦に触れながら押さえてください。

こうすることで、4弦をミュートすることができます。
そして、人差し指を離しながら(3弦・4弦に触れる程度に維持)、1弦7フレットを小指と薬指で押さえます。

中指は、2弦6フレットで小指薬指の補助をしても良いですし、弦の近くで浮かせていても構いません。
3弦をまたぎながら、中指の先で4弦をミュートする指を追加する
こちらも、Dの音を基準に説明します。
3弦5フレットを人差し指で押さえ、先ほど同様、指先は4弦に軽く触れてミュートします。

次に、3弦をまたぎながら、中指の先で4弦に軽く触れてミュートします。
このとき、3弦に触れないよう、ブリッジするイメージで弦をまたぐのがポイント。

薬指は1弦を補助したいところですが、中指を4弦に持っていくと、薬指も一緒に上に引っ張られるので、1弦に置くと手の形が少し窮屈になってしまいます。

なので、弦付近で浮かせているか、2弦のミュートに使用します。

そして、人差し指を離しながら(3弦に触れる程度に維持)、小指で1弦7フレットを押さえます。

これが、3弦+1弦の一番きれいなオクターブの形だと思います。
最初は難しいので、躊躇するかもしれませんが、今後Slap(スラップ)という右手のテクニックをやろうと思ったとき、地味に必要になってくる押さえ方になります。
ミュートって、1本の指より2本、2本より3本といった具合に、弦に対して触れる指が増えるほど、振動を確実に止めることができます。
4弦は弦が太く振動が大きいため、Slapではピチカートで弾くときよりも左手のミュートが重要になります。
人差し指の先でミュートするのに慣れたら、ぜひチャレンジしてみてください。
では、実際に弾いてみましょう。

テンポは♩=80くらいからスタートし、100〜120くらいで弾けるのが理想です。
必ず、3弦と1弦を同時に鳴らさないことを心がけながら弾いてください。
連続したオクターブを練習してみよう
オクターブ奏法は、ディスコやファンクといったジャンルの音楽で多用されます。
その場合、オクターブを連続して弾かなければならない場面が多いです。
吹奏楽のポップスでは、そういったジャンルのアレンジを取り入れた楽曲も多いので、オクターブ奏法を連続して弾く練習も取り入れましょう。
テンポは♩=80くらいからスタートし、100〜120くらいで弾けるのが理想です。
4弦+2弦のオクターブ練習

3弦+1弦のオクターブ練習

混合オクターブ練習

この練習は、できるようになると、結構楽しいです(僕も大好きです)。
自分でリズムを作るという感覚を養うのにも適していますので、ぜひやってみてください。
ノリノリで弾くのがポイントですよ!
あとがき〜ご指導される顧問の先生方へ〜

以前、A♭のオクターブ連続フレーズがある曲を練習している生徒がいました。
楽譜を見た時から嫌な予感はしていましたが、案の定、4弦4フレット+1弦1フレットでオクターブを弾いていました。

高いA♭は1弦1フレットという固定概念がそうさせたのでしょう。
手を相当広げないといけないから大変だったろうに……
逆に、真面目な子だなぁと感心したのを今でも覚えています。
吹奏楽特有の二刀流環境では、コントラバスとエレキベース、それぞれにとって有利な奏法を、楽器に慣れた早い段階でアドバイスしてあげる。
これが、上達への近道だと改めて感じる今日この頃です。




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