右手・左手の基礎が身についてきたら、どんどん曲を弾いていきましょう。
合奏に参加できるようになると、楽器を弾く楽しさも倍増します!
さて、ここからは「コントラバスの常識はエレキベースの非常識?」に入っていきたいと思います。
エレキベースを弾いていて、「なんか弾きづらいな」と思っている箇所はありませんか?
それは、コントラバスの基礎をそのままエレキベースに当てはめて演奏しているからかもしれません。
ここでは、コントラバスはコントラバス、エレキベースはエレキベースと切り替えられ、エレキベースを弾く上で有利になる考え方をいくつか紹介していきます。
<運指の基礎>コントラバスは時計回りだが、エレキベースは反時計回り
では、Fメジャースケール(dur)の弾き方を例に、運指の考え方の違いを説明しましょう。
コントラバスの基礎(シマンドルなど)を勉強していると、F durはこのような順番で弾いているのではないでしょうか。

4弦(E線)のハーフポジションからスタートし、G線のB♭までいったら、そのままG線のみで高いFの音まで弾ききります。

矢印は時計回りになっていますね。
対してエレキベースでは、反時計回りの方が有利なんです。

ハーフポジションからスタートするのは同じですが、D-E-Fを3弦でとることによって、次のFGAB♭CDEFを最小限の移動で弾くことができます。

または

コントラバスとエレキベースの運指方向をくらべると、なんだか山手線みたいですね。

外回りなコントラバスと内回りなエレキベース。
何が言いたいかというと……それくらいコントラバスとエレキベースでは考え方が違うということです(笑)
コントラバスの特性とエレキベースの特性を理解する
なぜコントラバスはG弦を多用した運指が基本なのでしょうか。
僕が思うに、太い弦は押さえるのが大変で、ピッチが取りづらいからではないかと思います。また、G弦は響きが美しいですし、4本の弦の中では1番扱いやすい。
逆にエレキベースのG弦は、扱いにくいと感じます。
音が細く感じられますし、ギラギラした音色要素が強いので、コントロールが難しいのです。
同じGの音でも1弦開放弦と2弦5フレットでは音色が違いませんか?
もちろんフレーズによって1弦を多用することもありますが、音楽的な音色のコントロールは、太い弦の方が有利な場合が多いと感じています。
開放弦を極力使わない
先ほどG線は扱いづらいと述べましたが、エレキベースは4弦(E線)以外の開放弦(A,D,G線)を楽曲の中で使わないことが多いです(A線はちょっと使うかな)。
なぜなら、
単純に太い弦のほうが音に存在感があり、フレットがあるのでピッチも狂わない。
というのが大きなポイントだと思います。
そして、もう一点、
コントラバスの弦は、音の減衰(小さくなる)が早いが、エレキベースの弦は減衰が遅いので、適切なタイミングでミュートしなければならない。
という違いがあります。
ミュートは音を止めるという意味で、開放弦は、ミュートのコントロールが難しいのです。
指で弦を押さえている場合は、指をフレットから少し浮かすと音が止まりますが、開放弦の場合は、指を乗せて音を止めますよね。
指を浮かすミュートと乗せるミュート、どちらが音の長さをコントロールしやすいですか?
僕は、圧倒的に指を浮かすミュートの方がやりやすいと思います。
開放弦は必然的に乗せるミュートになりますが、乗せるミュートは余分な音が出やすく、これをコントロールするには、それなりの経験と訓練が必要になります。
この開放弦を使わない運指を指導すると、多くの生徒が初めは難色を示します。
開放弦を多用する、コントラバスの常識から離れているからです。
しかし、実際弾いてみて、
「どっちが楽?」
と聞くと、ほぼほぼ納得してくれます。
最初は戸惑うかもしれませんが、「その楽器の一番良い音を出す」ことを考えて楽曲を奏でると、早く上達しますよ。
ちなみに、「開放弦は絶対使うな!」と言っているわけではありません(笑)
一番低いEの音は、4弦開放でしか出せませんし、開放弦を使うことで運指が有利になる場合も多くあります。
JAZZの曲などで4beatを演奏する場合など、開放弦を使う方が楽で、音色的にも良い場合がありますし、曲によって柔軟に対応することが大切です。
ただし、A-D-Gを連続で弾く場合や、D-D-D-DやG-G-G-Gなど1弦2弦の開放弦を連続して弾くことはほぼないですね(Aはたまにあります)。
基本的に4弦以外、開放弦は使わないけど、運指が楽になる箇所はちょっとだけ使うくらいに思っておいてもらえると、ちょうど良いエレキベースの運指になるんじゃないかと思います。
いかに美しい音を省エネで弾けるかを考える
運指を考える上で、一番大事なのは「いかに美しい音を省エネで弾けるか」です。
無理にコントラバスの奏法を当てはめるのではなく、エレキベースに有利な奏法を習得し、適切な判断ができるようになりましょう。
あとがき〜ご指導される顧問の先生方へ〜

開放弦は極力使わないと書きましたが、僕はエレキベーシストの中では開放弦を使う方だと思います。
エレキベースをコントラバスっぽいアプローチで弾くには?という部分で、楽曲によって脳を使い分けている感じでしょうか。
ただし、吹奏楽のポップス曲に限っていいますと、開放弦を積極的に使っていい場合は極めて少ないように感じています。
たまに、「コントラバスからエレキベースに持ち替える際、頭がこんがらがるので、コントラバスと同じ考え方で指導したい」と相談を受けることがあります。
そういった相談に対して、僕の答えは、「コントラバスからエレキベースに持ち替える際、頭がこんがらがらない方法を指導してあげる」というものです。
郷に行ったら郷に従えというと少し突き放した表現になりますが、楽器それぞれによって演奏のアプローチは違うものです。
迷っている生徒がいたら、「ちょっと考え方を変えてみたら?」とアドバイスしてあげると、答えが見つかるかもしれません。
それでもダメな場合は、是非、エレキベースに詳しい先生を召喚してあげてください!



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