「おはようございます。こちら羽田に到着しました。発券をするので、保安検査所AとBの間の自動チェックイン機付近でお待ち下さい。」
少し大きめのバッグと長い棒状のものを持ちつつ、LINEを送る蓮池。
平日朝7時の羽田空港、すんなりチェックインを済ませ振り返ると、川北くんが立っていた。
「おはようございます。では、参りましょうか。」
リュックを背負い、なにやら大き目の紙袋を持った友人と共に、手荷物カウンターに行き荷物を預ける。
順調そのもの…過酷な旅の始まりはこうも静かなものかと思いながらも、これから始まる荒行に震えが止まらない蓮池であった。
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四国88箇所お遍路の旅2019
知らない方もいらっしゃるかと思うので、説明しよう。
かの弘法大師様が若かりし頃周られた足跡をたどり、四国88カ所霊場を巡拝するというお遍路という名の修行を蓮池は、友人であり高校教師の川北栄樹先生と毎年行っているのである(車お遍路)。
修行の旅は2019年で実に6回目を数え、旅は後半戦に突入していた。
今年も厳しい修行になるのかな…
そんな風に思いながらも、武者震いが止まらない二人は飛行機に乗り込み、香川県へと出発していった。
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早速自らを追い込む荒業
今回の旅は、高松空港を出発し、一度愛媛県に戻り63番からのスタートである。
ということで空港に到着した2人は準備を済ませ、ついにOHR88_2019が始まったのであった。
「いや〜川北くん、今年もとうとう始まりましたね!よろしくお願いします。」
「よ、よろしくお願いします。」
車を運転しながら川北くんに話しかけると、なにやら難しい表情を浮かべている。
「どうしたんですか?昨年の蓮池のように何か心配事でもあるのですか?」
昨年の蓮池はというと、自宅のコーヒーメーカーをつけっぱなしにして家を出発してしまい、火事との恐怖と戦いながらお遍路を回るという、それはそれは厳しい修行をしていたのだ。
「いや〜、昨日生徒の保護者との飲み会に出席しましてね。なかなかどうして盛り上がってしまい、現在絶賛気持ち悪…」
「それはまた随分厳しい修行をされていますね。とりあえず運転は私がしますから、ゆっくり休んでてくださいな。」
修行旅に不測の事態はつきもの。これも大師様のお導きである。
さて、そんなこんなで車を走らせること1時間半、63番札所「吉祥寺(きちじょうじ)」に到着!
「いやー、お寺に着くと始まった感がありますね!でもなんかさ、せっかく四国に来たのに吉祥寺って、東京に戻ってきたみたいだね(笑)。」
「住みやすい街ナンバーワンなんでしょうな(笑)。」
「ほら、ジブリ美術館とかありそう…」
…
旅のスタートだけあって、ギャグのキレがイマイチではあるが、それもまた一興である。
そんなこんなで、さくさくまいりましょう!
64番札所前神寺(まえがみじ)
65番札所三角寺(さんかくじ)
ということで、こちらの3箇所をもって、愛媛県をコンプリート!
一番たくさんの札所がある伊予(愛媛県)の霊場が終了し、俄然テンションの上がる二人。
「いや〜、伊予の霊場を周りきりましたね!お!川北くんも調子も戻ってきた感じですか?」
「ええ、先ほど薬師如来様(ドラッグストア)から授かった栄養ドリンクという名のお守りが効いてきたみたいです。次は66番ですね。お、一度徳島へ入るんですね。」
次のお寺、66番の雲辺寺というお寺は讃岐(香川)の霊場に入っているのだが、位置的には徳島県にあり、標高911メートルと四国霊場のうち最も高い場所にあるお寺なのである。
うねうねとした道を登りきり(車ですが(笑))、到着!
66番札所雲辺寺(うんぺんじ)
そして下山した所で、初日はタイムアップ。宿泊予定のホテルへ向かう。
「お疲れ様でした!ではホテルへ向かいましょう。先日お伝えした通り、琴平温泉にある宿をとっています。」
「ありがとうございます。明日はとうとう”こんぴらさん”ですな。」
え?「こんぴらさん」はお遍路とは関係ないのでは?
そう思われた方も多いであろう。
確かにこんぴらさんは88箇所霊場ではないのだが、せっかく近くに来ているのだから、どうしても行ってみたいと思い、今回の旅にねじ込んだのであった。
「江戸庶民の悲願と言われたこんぴらさん参り、非常に楽しみですね!そのかわり出発は早いですよ!」
明日は5時半出発。
追加の荒行に武者震いが止まらない二人のお遍路さんであった。
つづく
2023.02.23
四国88箇所お遍路の旅2019〜こんぴらさん&讃岐うどん編〜
※このブログは2019年に行ったお遍路の旅の回顧録です。 川北くん、参りましょうか。 白衣を着たお遍路2人は、早朝5時30分、こ...